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写研のPCフォント化は夢と終わるのか

「15年ほど前に御社にお願いしたパンフの版下データありますか?」と問い合わせがあったので、モスボール状態のPowerBookG4を10年ぶりに起動。
ホームページ制作案件と一緒に頂いたパンフレットの案件。弊社HPには特に明記してないのですが、印刷の仕事もポツポツ頂いてます。
さてPowerBookG4はこの勿論ネットワークにも繋いでないし、繋いだら危険なのでUSBディスクを差し込み、該当するイラレデータをコピーしたのですが、懐かしいファイルがハードディスクに幾つかあったので一緒に引き上げてきました。その一つが今日ご覧頂く写研のゴカールをトレースしたものです。

私がこの仕事に踏み込んだ1992年頃はフォントの種類も少なく、モリサワ5書体で本文組んで見出し文字は写植屋さんに打って貰ってスキャナーで読み込みイラレでトレースしてました。
「イラレの練習兼ねて、ゴカールのかな文字とカナ文字全部今週中にトレースしとけ」と、写研のゴカールという書体(フォント)の紙焼きをポイっと渡されコツコツとトレースしました。
この書体は曲線が多いのでベジェ曲線のハンドリングの練習に丁度良いですが、最初うまく操作出来なくて凹みました。
ただコツを覚えると作業が一気に楽になります。
「今日は快調だな」と調子こいてたら、突然Macがフリーズ。作業は振り出しに・・・
なんとか期限ギリギリに完成しましたが、トレース作業を通じて常にファイルを保存するクセを付けるとか、この作業を通じて色々学びました。

ゴカールと言えば90年代までチラシで多用された書体ですが、あの国民的人気アニメのタイトル文字にも使用されてます。サクッと自分で並べてみました(ん~、詰めが甘いな)。

それにしても写研はPC用フォントをリリースすると時々アナウンスして音沙汰なし、今時ウェブサイトもないし、写研の代用で使っていたモリサワのフォントがいつの間にかデファクトスタンダードとなってしまいました。
一節には写研フォントは写植機とのセットでこそ発揮できるような事を聞いた記憶もありますが、その一方では今や写植屋さんは絶滅危惧種となり、その廃業した写植屋さんでしょうか写植盤(書体の原盤)がオークションサイトに出ていたりする現実もあります。
個人的には新ゴよりはゴナ、じゅんよりはナール、明朝系も写研の方が好みで写研の書体はどれも気品を感じます。
もちろん商業印刷物は利益を求めるものなのでアートではありませんが、車を持ってなかった父親が何故かたまに貰って来る自動車のカタログをきっかけに印刷やフォントに魅せられた私にとって写研の書体は「生活の道具」を超えた文化であると感じてます。
せめて生きている間に写研のPCフォント化を切望します。

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